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孔子学院とは

設立趣旨

 東アジア地域を安定的で、調和的な、そして持続可能な発展へと導くために、日中両国の果たすべき責務は極めて重い。それは、また、ここに生活する全ての人々が等しく負う責務である。如何に科学技術文明が発達しようとも、それらを活用してより良い未来を構築するのは、結局のところ人である。人類は叡智をもって未来を切り開いてきた。一人の内心にある思考は、表現され、議論され、具体化され、はじめて人類の共通財産となる。こうした過程を経て形成される叡智を支えるものは、言語であり、それを支える言語文化にほかならない。
 さて、21世紀は「知」の時代と言われている。それは、人類が永遠のテーマとして追求してきた平和、繁栄、幸福に満ちた社会を実現するための「知」であり、新たな文化・文明を生み出す「知」である。しかしながら、現実には様々な対立構造がある。加えて、この世に氾濫する欺瞞や相克は拡大することはあっても、縮小してはいないと言う現実を直視するとき、乱世の中に「徳」を持って美しき人の世を築こうとした孔子の教えが、2500年の時空を超えて、今こそ求められていると言える。このため、本学は、先人の叡智である孔子の教えを母体とし、今世紀の新たな「知」を生み出すべく、漢語教育と中国語文化の普及を目的として孔子学院を設置するものである。

孔子

 孔子は中国・春秋時代の紀元前551年、魯(現在の山東省曲阜)に生まれたとされる思想家で、釈迦、ソクラテス、キリストと並ぶ世界四聖の一人である。
 名は丘、字は仲尼、おくり名は文宣王。幼い頃から才徳をもって知られ、壮年になって政治家を志し魯に仕えたものの、自分の理想とする政治が行えず、後に官を辞して諸国放浪の身となる。十数年もの間、諸侯に人の道を説き、晩年、再び魯の国に戻ってからは、弟子の教育と学問に生涯をささげた。
 日本人の生き方の規範となった儒学の祖であり、中国をはじめ、朝鮮半島を中心とする東アジアの人々の生きる道「徳」を説いた偉大な思想家であり、学者、教育者でもあった。紀元前479年とされる没後、その教えは高弟たちによって『論語』としてまとめられ、儒学のもととなった。
  『論語』は『孟子』『大学』『中庸』とあわせ、四書の一つに数えられる。『論語』にちりばめられている孔子の教えの根本をなすのは「仁」であり、これに「義」「礼」「智」「信」を加えた徳目は『五常の徳』と呼ばれている。
 孔子の教えによれば「仁」の実践は身近な親兄弟に寄せる尊敬(孝)、親愛(悌)の情の発露であり、「礼」と一致しなければならない。『五常の徳』をわかりやすいことばで言うなら、「仁」は思いやりの心をもつこと、「義」は正しい行いをすること、「礼」は豊かな心を示すこと、「智」は正しい判断をすること、「信」は周りの人から信頼されることである。

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